目次
概要
2023年3月14日(米国時間)、サブスクリプションプランの1つ「Docker Team」1https://docs.docker.com/subscription/details/#docker-team の「Free」(無料で利用可能)プランの廃止(sunsetting)を発表しました。
- 無料の Team を使っている組織やユーザは直接影響を受け、有償プラン切り替えなど、何らかの対策が必要です。
- それ以外の一般ユーザも、organization として公開されている Docker イメージ(リポジトリ名が「組織名/リポジトリ」の場合。例:「dokku/dokku」)を利用している、間接的に影響を受けます。そのため、自分が使っている Dockerfile の確認が必要になり、リポジトリが公開されなくなる場合、あるいはリポジトリが移動する場合には、
FROM
など書き換えが必要です。
本ページでは、公開されている情報を基に、事実ベースで影響範囲、対策、関連情報を整理しています。
発表内容
Docker 社からの発表 (2023/03/14)
現時点で Docker Inc. の公式ページやブログからは、本件に関する情報は辿れません。Docker Blogで「We apologize. We did a terrible job announcing the end of Docker Free Team」(「謝罪します。Docker Free Team の終了について酷い行いをしました」)という発表が行われました(3月17日JST更新)。また、該当する利用者に対してはメールでの通知(3月15日JST)と、詳細情報の PDF へのリンクが提示されました。メールの件名は「Important: Docker is sunsetting Free Team organizations」(重要:Docker は Free Team organization を廃止します)であり、メールの文面は以下の通りです。

この通知のポイントは「無料の Docker Team は 2023年4月14日でプライベートリポジトリが利用できなくなり、公開リポジトリも rate リミットが適用される。さらに、その1ヵ月後にリポジトリ(もちろん Docker イメージも)削除される」です。
詳細:
- Docker Team サブスクリプションのうち無料で使えた「Free Team organization」は既に過去の存在(レガシー)。
- Free Team は有料の Docker Team と同じ特徴や機能を持っている。
- このメールが届いた利用者は、Free Team organization のメンバーの可能性がある。
- Free Team のプライベートリポジトリは 2023 年 4 月 14 日(UTC午後11時59分、日本時間15日9時00分)に停止予定。
- 回避するには 2023 年 4 月 14 日までに Docker Team の有料サブスクリプションに切り替える必要。
- 有料サブスクリプションに切り替えなければ、データを 30 日間保管した後、削除対象となる。
- 削除対象となると、それまで公開リポジトリのイメージは公開されるものの、rate リミットが適用される。
- 30日の期間中に有料プランに更新すると、いつでも回復できる。
- 詳細は FAQ を読むように。
Docker が発表した FAQ (2023年3月15日更新)
Docker から通知されたメールには、 FAQ (PDF) へのリンク https://web.docker.com/rs/790-SSB-375/images/privatereposfaq.pdf が示されていました。
FAQ の内容は以下の通りです。
※以下の情報は記事公開時点の情報です。最新の FAQ を常にご確認ください。
自分が影響を受けるかどうかを確認するには?
Free Team の organization に自分が属しているかどうかを確認するには、 Docker Hub にログイン後、「Organization」をクリックします。

それから、Organizations の画面で一覧が表示されます。対象となる Organization の名前(Namespace)列を確認し、「Subscription」列が「Docker Free Team」と表示されている場合に影響を受けます。

なお、 organizations の一部に影響があったとしても、個々の Docker アカウントや他の organization には影響がありません。
また、今回の変更は Docker Personal、Docker Pro、有料の Docker Pro、 Docker Business 等のサブスクリプションには影響ありません。
オープンソースプロジェクトで使っている場合はどうしたらいいですか?
オープンソースプロジェクト向けの Docker スポンサード・オープンソース(DSOS)プログラムを提供し続けています。Free Team organization 廃止の影響を受けません。
Free Team organization から DSOS への参加を希望する新しい利用者は、DSOS の申請中がレビュー中の場合は organization の停止や削除を延期します。最終的に申請が却下されても、少なくとも30日間与えます。また、皆さんからの声をもとに、追加のプログラムやプランを提供するかもしれません。
2022年9月に基準を変更しました。過去の応募で却下された場合でも、全てのオープンソースプロジェクトが応募されるのを推奨します。スタッフは全ての申請を直ちに審査します。
Docker 公式イメージ (DOI) や Docker Verified Publishe (DVP) の場合はどうしたらいいですか?
DOI や DVP に影響はありません。
Free Team のプライベートリポジトリを使い続けるには?
organization のプライベートリポジトリは有料サブスクリプション機能です。過去の Free Team のプライベートリポジトリは 2023 年 4 月 13 日で停止となります。複数のサブスクリプションプランによって、プライベートリポジトリを利用し続けられます。詳細は料金表を参照ください。
(廃止された場合)他人に namespace を不法占有(squat)されますか?
organization が停止されたり、削除したり、自主的に離れたとしても、使っていた organization の namespace は解放されません。つまり、イメージは不法占有できません。
(解説:もし名前空間が解放されれば、有名な Free Team だった organization を第三者が再取得し、中身が改竄されたり悪意を持って工作される Docker イメージが配布されるのではという懸念がありました。その批判に対する回答と思われます。)
個人のアカウントにダウングレードできますか?
Free Team organization から Personal アカウントへのダウングレードは、現時点ではできません。新しい Personal アカウントを作成し、データのコピーはできますが、異なる名前空間を作成します。
Docker 以外のリポジトリを使っています。私のアカウントからデータを出力できますか?
はい、2023年 4 月 13 日までであれば、いつでも Docker レジストリのプライベートリポジトリからイメージを出力し、任意の別のレジストリにイメージを送信できます。
Docker サブスクリプション料金はいくらですか?
Docker Pro プランから始まる3つの有料サブスクリプションを提供しています。料金表をご覧ください。
Docker 有料サブスクリプションの利点は何ですか?
- Docker Pro は、生産性を向上したい個人の開発者に最適です。
- Docker Team は、生産的な共同作業をしたい小規模チームに最適です。
- Docker Business は、集中管理と高度なセキュリティ機能が必要な企業に最適です。
有料サブスクリプションにアップグレードするには?
- docker.com に自分のアカウントでサインインします。
- バナーの「Upgrade」を選びます。
- アップグレードしたいプランを選び、利用者数を指定します。
- 支払手続きをします。
自分の Docker イメージは自動で有料サブスクリプションに移行しますか?
はい、Docker 有料サブスクリプションにアップグレードすると、自分のアカウントと関連するすべての設定、イメージ、リポジトリは、同じ名前と設定が 100% 維持されます。
他にも、追加情報等あれば、更新します。間違い等御座いましたら、ご指摘いただけますと幸いです。
参考情報
- Free Team Organizations FAQ
- Free team being sunset, no way to convert to a regular account · Issue #2314 · docker/hub-feedback
- 1https://docs.docker.com/subscription/details/#docker-team